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ムーン・パレス
評価:
ポール・オースター
新潮社
¥ 740
(1997-09)

JUGEMテーマ:本の紹介
人類がはじめて月を歩いた春だった。父を知らず、母とも死別した僕は、唯一の血縁だった伯父を失う。彼は僕と世界を結ぶ絆だった。僕は絶望のあまり、人生を放棄しはじめた。やがて生活費も尽き、餓死寸前のところを友人に救われた。体力が回復すると、僕は奇妙な仕事を見つけた。その依頼を遂行するうちに、偶然にも僕は自らの家系の謎にたどりついた…。深い余韻が胸に残る絶品の青春小説。(「Book」データベースより)


【以下、2004/12/24時の感想】
とても読みやすい小説で、すらすらと読めた。最近の海外文学を読もうかと思っている人は、まずこの作品から手をつけてみるといいんじゃないかな?

「偶然という名のリアル」をうまく用いて、語られる主人公マーコ・フォッグの人生と、彼の家系。壮絶な彼らの人生は、どれをとってもものすごく読み応えがあり、そこにある数奇な運命をおもしろく感じ取れる。

主人公フォッグのことにだけ触れて言えば、伯父を失い、絶望のあまり人生を放棄しはじめてからの、彼の生きていく過程のすさまじさが、とてもリアルでおもしろい。それはとても悲惨な出来事であるはずなのに、フォッグの姿勢が前向きだからなのか、ユーモアに溢れているからなのか、そこまで悲惨さを感じさせない。

そして餓死寸前のところを救ってくれた友、そしてキティという女性の存在。その存在があることで、読者としての自分はとても心を穏やかにしてみることができたのだと思う。

「偶然」というものに、幸せが含んでいても、不幸が潜んでいても、その「偶然」には必ず意味があると教えてくれたと思う。そして、孤独や喪失によって得られるものがあるとも。
ポール・オースター | comments(0) | trackbacks(0)
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